慢性炎症は生活習慣病に共通して認められる基盤病態である。生活習慣病における慢性炎症の多くは,急性炎症の特徴を示さないまま低レベルの炎症がくすぶるように続き,細胞・組織機能を障害する。慢性炎症の継続は線維化などによる組織構築の改変(組織リモデリング)を引き起こし,臓器機能の不可逆的な障害をもたらす。慢性炎症を標的とする研究も進み,冠動脈疾患や糖尿病などを対象にした臨床研究で効果が確認されている。心血管疾患に典型的なようにさまざまな生活習慣病で性差が認められる。その背景では慢性炎症の生じやすさや,炎症プロセスに相違が存在する可能性が高いが,研究は不十分である。今後,炎症応答の相違をもたらす免疫系や組織の性差についてのさらなる研究が望まれる。
特集 女性の生活習慣病―新たな展開―
慢性炎症と生活習慣病
掲載誌
HORMONE FRONTIER IN GYNECOLOGY
Vol.28 No.1 19-23,
2021
著者名
真鍋 一郎
記事体裁
抄録
/
特集
疾患領域
代謝・内分泌
診療科目
産婦人科
/
糖尿病・代謝・内分泌科
媒体
HORMONE FRONTIER IN GYNECOLOGY
Key Words
慢性炎症,性差,炎症老化
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。