「Summary」選択的性ステロイドホルモン受容体修飾薬は副作用を軽減するステロイド剤として臨床的応用が強く望まれているが,その起点は選択的女性ホルモン受容体修飾薬(selective estrogen receptor modulators;SERM)の抗骨粗鬆薬としての臨床的成功である。SERMの組織選択的エストロゲン作用の分子基盤の1つは,女性ホルモン受容体(estrogen receptor;ER)結合によって引き起こされる構造がERリガンド種によって異なることにある。1997年にはリガンド結合ER結晶蛋白の立体構造解析から証明されている1)。このER蛋白構造の違いは,細胞核内で物理的もしくは機能的に作用する複合体因子群との相互作用に差異を生じるため,結果的に組織特異的に異なる標的遺伝子群の発現を調整し,その結果組織選択的なSERMの薬理作用を発揮すると理解されてきた2)。
「Key words」核内ステロイドホルモン受容体,転写共役因子,SERM,eRNA,パイオニア因子