「論文のポイント」

[1]TMAは血小板血栓を主徴とする病理学的診断名である.

[2]TMAからDICへの移行はあり得る.

[3]TTPはADAMTS13活性の欠損症で起こる.

[4]aHUSの多くは補体調節因子の異常で起こる.

[5]HELLPは妊娠に合併するTMAと考えられる.

血栓性微小血管症(thrombotic microangiopathy:TMA)は,①細血管障害性溶血性貧血,②消耗性血小板減少,③「血小板血栓」による臓器機能障害,の3徴候を示す病理学的診断名である1).これに類似した病態として,播種性血管内凝固症候群(DIC)がある.しかし,DICは「凝固(フィブリン)血栓」が主体であるため,TMAとは病理学的に区別されている.すなわちTMAは血小板活性化が,またDICは凝固亢進が,それぞれの一義的要因と考えられる.