「Summary」火山活動に伴い,火山灰,二酸化硫黄,硫化水素,酸化窒素,放射性核種などが放出され,周辺の地域に影響を及ぼす。火山灰は,周辺の地域だけでなく,広い地域に降下しうる。たとえば,噴火に伴い大気中の浮遊性粒子状物質(SPM)が増加するが,SPMは軽くて比較的遠くまで運ばれるため,広い地域に拡散し,その濃度は比較的低いレベルにとどまることが多い。直径2mm以下のパイロクラスト(火山破砕物)が火山灰と定義されている。火山灰は毒性学的には比較的不活性である。火山灰粒子が肺の末梢部へ到達する確率は粒子径・粒子の形状・呼吸速度などに影響されるが,粒子径がおおむね5μm以下になると肺胞に達しうる。粒子径0.02μm前後で肺胞への沈着が最も多く(約50%),さらに小さくなると肺胞に沈着せずに上気道に沈着しやすい。直径10μm以上の火山灰粒子は鼻炎・鼻汁,のどの痛み,咳などの症状を起こす。これより小さい粒子は,咳,痰,喘鳴,息切れなどの症状を起こしたり,喘息発作,急性気管支炎,慢性気管支炎,心疾患の悪化などを引き起こすことがある。なお,国際がん研究機関(IARC)は,粒子状物質による屋外空気汚染が発癌の原因(Group 1)となると結論している。火山活動に伴うPM2.5増加による健康被害も懸念されているが,現在のところ,明確な健康への影響は報告されていない。
「Key words」健康影響,火山灰,火山ガス,浮遊性粒子状物質
「Key words」健康影響,火山灰,火山ガス,浮遊性粒子状物質

