「Summary」依存性薬物は, 腹側被蓋野から側坐核に投射するドーパミン神経系(中脳辺縁系)に作用してドーパミン情報伝達を促進する. 依存性薬物の慢性使用により, 側坐核神経ではドーパミン細胞内情報伝達系の活性化(CREB, DARPP-32, ERKなど), 転写因子の発現, クロマチンのエピジェネティックな変化, 神経形態変化などが起こる. このドーパミン報酬回路の可塑的な変化が, 依存性薬物に対する渇望や使用中止後の再燃の原因となっている. 最近の遺伝子改変マウスを用いた研究により, 側坐核のD1タイプとD2タイプ神経で活性化される情報伝達系とその役割が明らかにされている. ニコチンは腹側被蓋野のα4β2ニコチン受容体に作用してドーパミン報酬系を活性化するが, ニコチン依存と退薬症状には多くのニコチン受容体サブタイプが関与している. 薬物依存の治療薬開発には, 依存をきたすドーパミン情報伝達分子機構のさらなる解明が必要である.
「Key words」ドーパミン報酬系, 中脳辺縁系, 神経可塑性, エピジェネティクス
「Key words」ドーパミン報酬系, 中脳辺縁系, 神経可塑性, エピジェネティクス

