はじめに  粟粒結核は,結核菌が血行性,リンパ行性に全身に播種した状態で,少なくとも2臓器以上に粟粒大の結核病巣がびまん性散布したものと定義される1)。臨床症状は非特異的で,典型的な胸部X線異常影は病勢が悪化するまでみられないことが多い。診断,治療の遅れが予後に影響する重篤な病態であり,高齢者で治療抵抗性の肺炎をみた際に,鑑別に挙げるべき疾患である。  今回われわれは,広域抗菌薬に治療抵抗性の急性肺炎で転入院となり,呼吸不全と汎血球減少,肝機能障害を伴う粟粒結核の診断に至った症例を経験した。抗結核薬の多剤併用療法を行ったが,急性呼吸窮迫症候群(acute respiratory distress syndrome;ARDS)を発症し救命に至らなかった。文献的考察を加え報告する。