学会賞 受賞演題・論文解説 第28回 日本排尿機能学会
基礎部門 新規夜間多尿動物モデルを用いた夜間多尿の病態解明:腎臓内RAS-SPAK-NCC経路の過剰活性化によるナトリウム排泄抑制が夜間多尿を引き起こす
掲載誌
排尿障害プラクティス
Vol.29 No.2 80-83,
2022
著者名
関井 洋輔
記事体裁
抄録
/
連載
疾患領域
腎臓
/
泌尿器
診療科目
腎臓内科
/
泌尿器科
媒体
排尿障害プラクティス
夜間頻尿は生活の質を低下させるだけでなく,生命予後を悪化させることが知られています。その夜間頻尿の原因の50~80%は夜間多尿です。しかし,これまで夜間多尿の病態は十分に解明されておらず,既存の治療効果も限定的であり,より効果的な治療法の創出のためには夜間多尿の分子メカニズムの解明が必要不可欠でした。そこで,塩分摂取量と夜間多尿指数が正の相関を示すことに注目しました¹⁾。一方で,塩分摂取量は年代で差を認めませんが,夜間多尿指数は老化とともに上昇することから,われわれは,老化が塩分摂取量と夜間多尿の関係に影響を及ぼすと考えました。老化にともなう一酸化窒素(nitric oxide;NO)低下と塩分過剰摂取が夜間多尿を引き起こすという仮説(two-hit theory,図1)を立て,新規夜間多尿動物モデルマウスの確立および夜間多尿の分子メカニズムの解明を目指しました。
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。