「心疾患と高血圧」心臓は脳・腎とならぶ高血圧の主要な標的臓器である。高血圧による圧負荷は代償性心筋細胞肥大と血管周囲の反応性線維化を組織学的主徴とする求心性心リモデリングを来たす(図1)1)。この時期には収縮機能は保持されているが拡張機能はしばしば早期から障害されている。過剰な圧負荷が持続すると,肥大した心筋細胞の傷害,細胞死・脱落,それに伴う瘢痕形成としての置換性線維化が進展し,内腔拡大を特徴とする遠心性心リモデリングと収縮機能障害が進行する。また,高血圧による内皮障害に伴う冠予備能の低下は肥大心における心筋酸素需要増加に見合う冠血流を維持することができず相対的虚血となることも,肥大心の拡張障害・収縮障害の進展に関与している。一方,高血圧は脂質異常症,糖尿病,喫煙などの危険因子と相まって,冠動脈硬化の原因となるのみならず,プラーク破綻にも関与し急性冠症候群の引き金ともなる。また,高血圧は後負荷増大により心筋酸素消費量を増加させて心筋虚血を助長するとともに,陳旧性心筋梗塞においては心リモデリングを引き起こし心不全の原因ともなる。