Ⅱ. 臨床
1.ケトン体代謝を介した心血管代謝調節
掲載誌
The Lipid
Vol.33 No.2 47-53,
2022
著者名
有馬 勇一郎
記事体裁
抄録
/
特集
疾患領域
循環器
/
代謝・内分泌
/
栄養管理
診療科目
循環器内科
/
糖尿病・代謝・内分泌科
媒体
The Lipid
Key Words
心不全,虚血性心疾患,ケトン体補充療法,エネルギー,エピゲノム,ミトコンドリア
心臓は貪欲にエネルギーを消費する臓器であり,ケトン体を含めたさまざまなエネルギー基質を利用する。健常心は主に脂肪酸をエネルギー基質として消費することが知られているが,心不全などの病態ではケトン体の利用率が上昇することが明らかとなってきた。また,ケトアシドーシスを来さない程度のケトン体補充療法は,心臓をはじめとして臓器保護をもたらす可能性が期待されており,さまざまな臨床研究が進行中である。ケトン体代謝に関する注目が高まるにつれて,ケトン体にはエネルギー基質としての働き以外にも,シグナル伝達やエピゲノム調節因子,そしてミトコンドリア保護といった多面的な作用があることが明らかになり,注目されている。
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。