[Summary]肥満症の病態形成における細胞内グルココルチコイド活性化の意義が注目されている. 細胞内グルココルチコイド活性化を担う酵素, 11β-HSD1の発現や酵素活性は肥満の脂肪組織において上昇し, インスリン抵抗性や脂質・糖代謝パラメーターの悪化と相関する. 11β-HSD1の過剰な活性化はアディポカイン分泌異常に代表される脂肪組織機能異常を引き起こす. 脂肪組織における11β-HSD1発現はPPARγによって強力に抑制されることから, チアゾリジン誘導体がもたらす脂質・糖代謝改善作用や異所性脂質軽減効果の一翼を担う分子であり, 過栄養とストレスで活性化される生活習慣病誘導因子と捉えることができる. 欧州や米国における最近の11β-HSD1阻害剤の臨床試験では, 糖尿病改善効果における優れたproof of concept(POC)が得られており, 新規創薬の標的として期待を集めている.
「Key Words」11β-HSD1,細胞内グルココルチコイド活性化酵素,肥満症,糖尿病,新規創薬