糖尿病,高脂血症,高血圧,肥満症といったメタボリックシンドロームに関連した疾患では酸化ストレスの増加が認められ,この酸化ストレスの増加が内皮機能障害に関連していることが示唆されている。その中で,糖尿病合併症の発症機序として高血糖あるいは低血糖に起因する酸化ストレス亢進が注目されている¹⁾ ²⁾。本稿ではわれわれが糖尿病合併症発症機序の1つとして提唱しているミトコンドリア由来活性酸素(mtROS)の産生増加機序について筆者らの成績を中心に概説する。また酸化ストレス制御による糖尿病合併症発症阻止の可能性についても考察する。