「はじめに」肝臓は生体内最大の生理活性物質の産生臓器であり,糖代謝において中心的な役割を担っている。肝疾患では,正常肝細胞の減少に伴い肝糖代謝の恒常性が破綻する。日本糖尿病学会では,肝疾患(慢性肝炎や肝硬変,その他)を原因として発症した糖尿病をその他の特定の機序,疾患による糖尿病の中に分類している。本稿では,肝臓における正常な糖代謝のメカニズムを通して,肝硬変や近年注目を集めるNAFLD(non-alcoholic fatty liver disease)でみられる糖尿病について述べる。
「Ⅰ.肝臓での正常な糖代謝のメカニズム」肝臓は,全身のグルコースの恒常性において重要な役割を果たしている。食事で摂取したグルコースは腸管から吸収され,門脈を通って,全身循環に入る前にglucose transporter2を介して肝細胞に取り込まれる。肝臓は全身臓器へのグルコースの絶え間ない供給のため,グリコーゲンを貯蔵し,絶食時にはグリコーゲンの分解と糖新生を行う。
「key words」NAFLD,慢性肝炎,インスリン抵抗性,糖尿病