「はじめに」糖尿病性神経障害(diabetic polyneuropathy:DPN)は糖尿病性細小血管障害のなかで最も頻度が高く,詳細な電気生理学的検査によると,ほぼ100%の糖尿病患者が異常を有しているとみなすことができる1)。感覚優位の末梢神経障害であるため,DPNの症状は初期には痛み,痺れ,異常感覚などがある。病期が進行するにつれて,感覚鈍麻が顕在化してくる。その後,適切な治療が行われないと壊疽,潰瘍などのため,四肢の切断が必要になることもある。DPNの症状は患者のQOLを著しく低下させる。その成因には,代謝因子,遺伝因子など多くの因子が関与しており,それらが相互に,あるいは相乗的に作用するものと考えられている(図1)。この複雑な発症機序が,DPNの治療を困難なものにしている。現在のところ,DPNの治療はその進展,阻止に主眼が置かれている。この稿では現在,解明されているDPNの成因および可能性のある治療について概説する。
「key words」糖尿病性神経障害,AGEs,ポリオール経路,インスリン抵抗性,インクレチン
「key words」糖尿病性神経障害,AGEs,ポリオール経路,インスリン抵抗性,インクレチン

