「はじめに」インスリン抵抗性は糖尿病発症の重要な病態であるとともに,メタボリックシンドロームの基盤病態であり,動脈硬化性疾患発症の予防のために,インスリン抵抗性の軽減は重要な課題である。インスリン抵抗性の評価方法,規定因子についてはすでに前項で詳細に述べられており,ここでは各種インスリン抵抗性改善薬の作用メカニズムについてこれまでの知見をまとめる。各臓器におけるメカニズムは本特集の後半で詳しく述べられるため,参照していただきたい。
「Ⅰ.インスリン抵抗性を改善する薬剤」糖尿病をはじめとする糖代謝異常を考える上で,膵β細胞のインスリン分泌不全とともに肝臓および末梢組織,特に骨格筋におけるインスリン作用の低下が重要である。インスリン作用低下の病態は,インスリンによる肝臓での糖放出抑制の障害と骨格筋や脂肪組織におけるインスリンによるブドウ糖取り込み促進作用の低下であり,これをインスリン感受性低下,あるいはインスリン抵抗性と呼ぶ。
「key words」メトホルミン,ピオグリタゾン,AMPK,アディポネクチン