「はじめに」アルツハイマー病は認知機能障害を呈する中枢神経系の病気で, 神経変性疾患のなかでも最も患者数が多く全世界では推定3,500万人1)が罹病しているといわれている. 世界人口の高齢化とともに患者数は増加し, 2050年の全世界の患者数は1億4,000万人2)に至るともいわれているが, 有効なアルツハイマー病治療薬はないことが現状である. これまでアルツハイマー病の発症リスク要因として加齢や遺伝子変異などさまざまな因子があげられているが, 根本的な原因や疾患メカニズムはいまだ不明である. 一方, アルツハイマー病と同様に加齢関連疾患として多くの患者数を有する糖尿病に代表される代謝疾患は, 国民病といっても過言ではないほど患者数の多い病気である. 比較的古くからアルツハイマー病発症と糖尿病には密接な相関性があることが疫学的研究から報告されていたが, これまで疫学的見解を支持する分子生理学的知見は少なくその真偽については長い間議論の対象となっていた.
「Key Words」インスリン様シグナル,代謝,脳IR/IGF1R-IRS2,Aβ,認知機能
「Key Words」インスリン様シグナル,代謝,脳IR/IGF1R-IRS2,Aβ,認知機能

