「Summary」がん性疼痛の治療として麻薬性鎮痛薬であるオピオイドを用いることは, 今や医療従事者の間では一般的になり, その適正使用と安全性についての認識は広まりつつある. しかし, 同じオピオイドの間にもそれぞれ特徴があり, その科学的機序はいまだ不明な点が多い. 本稿では, オキシコドンを中心にその鎮痛作用や副作用, 依存形成や鎮痛耐性が発現する薬理学的, 分子生物学的機序を基礎研究の結果を交えて概説した.
「はじめに」1986年, WHOにより「WHO三段階除痛ラダー」が発表され, がん性疼痛の治療の主軸として麻薬性鎮痛薬を用いることが明言された. また, わが国においても2007年にがん対策基本法が施行され, 医療従事者の間では麻薬性鎮痛薬の使用に対する誤解が改善され, その適正使用と安全性についての認識は広まりつつある. モルヒネをはじめ, 天然アルカロイド, 合成物質, 内因性ペプチドおよびその拮抗薬を含め, オピオイド受容体に結合するすべてのリガンドをオピオイドという.