生まれた直後から食事を食べる人はいない。母乳やその代わりとなる育児用ミルクを哺乳することで栄養を摂取する。生後数ヵ月すると,離乳食を食べはじめるようになるが,それは嚥下機能や消化機能の発達に合わせて行われるものである。また,哺乳,食事のいずれも,栄養・心理・社会的な意味合いがあり,離乳食を進めることは育児上の喜びの1つである。一方アレルギーとは,無害な相手に対する免疫反応である。食物アレルギーは,本来は無害であるはずの食物に対して,免疫反応によって生体にとって不利益なことが起きる現象である。このことが,離乳食を進めるうえで育児上の不安感,負担感にもなっている。食物アレルギーやアレルギー疾患をできるだけ予防しうる離乳食の導入時期については,その考え方が時代とともに変遷してきた1)。
本討論は,問題点をよりクローズアップすることを目的としており,このテーマに対しあえて一方の見地に立った場合の議論であって,必ずしも論者自身の確定した意見ではありません。
・Proの立場から/高増哲也