過去5年間で大腸がんにおける個別化医療は大きく進展した。RAS野生型で左側原発進行再発大腸がんに対する抗EGFR抗体薬の一次治療が確立され、BRAF V600E変異陽性例でもエンコラフェニブとセツキシマブを軸とした標準治療が確立されようとしている。さらに、MSI-H/dMMR 例では免疫チェックポイント阻害薬が進行再発大腸がんの一次治療の標準治療となり、HER2をはじめとしたさまざまな遺伝子をDriverとする薬物療法が承認され、その数も増えつつある。また、包括的ゲノムプロファイリング検査やcirculating tumor DNA(ctDNA)による分子的残存病変の有無によって術後補助療法を層別化する治療開発が進行している。外科領域では、ロボット支援下手術が普及し、特に直腸がんでは従来の腹腔鏡手術と比較してロボット支援下手術の腫瘍学的優越性が示された。さらに直腸がんの術前集学的治療や外科的手術の省略を目指すnon-operative management(NOM)の治療開発も進行しており、大腸がん治療は薬物療法・外科治療の両面で大きな変革期を迎えている。