急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia;AML)は,治療法の進歩にも関わらず予後不良な疾患であり,強度の高い化学療法を行ったとしても,寛解導入不能例が10~20%発生し,長期生存率も40%程度にとどまる1)-3)。造血細胞移植を行うことで,再発予防および予後の改善が期待されるが,侵襲性の高い治療法であり,高齢者や予備能の低い症例には適応しがたいという課題もある1)。したがって,治療関連毒性が少なく治療効果の高いAMLに対する治療法の開発が必要とされている。
B細胞性悪性腫瘍に対するCD19抗原特異的キメラ抗原受容体(chimeric antigen receptor;CAR)-T細胞療法の劇的な効果は,世界的に大きな注目を集め,これまでのがん治療の歴史を大きく塗り替えた4)-11)。一方,AMLに対するCAR-T細胞療法では,CD19-CAR-T細胞療法とは異なり,①AML細胞における標的抗原の発現が弱い,②標的抗原が正常骨髄球系細胞にも発現している,という課題がある12)。この課題を克服し,より安全で治療効果の高いCAR-T細胞療法の開発が,現在全世界で進められている。すでに結果が公表された臨床試験も複数あり,一定の臨床効果と安全性も示されていることから,AMLに対する新規治療法の1つとして期待されている。本稿ではAMLに対するCAR-T細胞療法について概説する。
「KEY WORDS」キメラ抗原受容体,急性骨髄性白血病,T細胞療法,遺伝子導入