「Ⅰ.骨髄腫と腎障害の頻度と歴史」骨髄腫の腎障害は,骨髄腫診断事象の1つであり1),commonな合併症である。新規発症の骨髄腫の2~4割に腎障害の合併がみられ,約1割に透析が必要となり,さらに経過中に約半数が腎障害を呈し,生命予後にも強く影響する2)-5)。その腎障害との関係は古くから確立しており,1847年にHenry Bence Jones博士が骨髄腫患者の異常な尿蛋白を報告している6)。これが後にBence Jones protein(BJP)と命名され,κとλの2種類の軽鎖が認識され,遊離軽鎖(free light chain;FLC)は現在,診断と治療のマーカーとして重要とされている。
「Ⅱ.骨髄腫の腎障害における成因の多様性」骨髄腫の腎障害で一番頻度が高い腎病理形態はCast nephropathy(Cast-N)であり7),骨髄腫腎とも呼ばれる。遠位尿細管付近において,健常人にも存在するTamm-Horsfall蛋白(THP)と軽鎖が結合してcastを形成・凝集し,さらに尿細管腔を閉塞し,AKI(acute kidney injury)を呈する8)。
「KEY WORDS」骨髄腫腎,MGUS,MGRS,腎臓内科,ボルテゾミブ