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文学にみる病いと老い

第75回 「終焉」幸田文


掲載誌
Pharma Medica Vol.31 No.6 170-175, 2013
著者名
長井 苑子 / 泉 孝英
記事体裁
抄録
疾患領域
その他
診療科目
老年科
媒体
Pharma Medica

毎年の桜の時期になると, 「来年も桜をみることができるかしら」とか, 「しかし, 桜が咲くまでの一年は長いようで, なんと短いものか」とか, ひとしきり感慨を抱くことが多い. 40歳のころの4月1日のエイプリルフール*2に, 私自身「うそのような本当の話」がある. 医師として病棟で元気に働いていたころである. 間質性肺炎*3の急性悪化で深夜に亡くなった患者の病理解剖*4が午前6時に終了し, 午前7時半ころに自宅にもどった. 朝ごはんを食べて少し休憩しようかとしていたときである. 警察から電話連絡があり, 60代の別の間質性肺炎の女性患者が自宅で自殺しているのが発見され, 遺書に, 「主治医を呼ぶまでは, 遺体を処置してはいけない, 大学病院で解剖をしてもらうことを希望する」と書かれているとのことである. ともかくも患者さんの自宅に駆けつけた. たんすに紐をかけて自殺*5されていた. 残された娘さんは, 前夜に, 母が御菓子をくれて, よくお休みと言ったのが最後の会話であったという.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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