【特集 双極性障害:現代社会における特徴と診療】
双極性障害と自殺
掲載誌
Pharma Medica
Vol.31 No.3 23-28,
2013
著者名
玄東和
/
張賢徳
記事体裁
抄録
疾患領域
精神疾患
診療科目
精神科
媒体
Pharma Medica
「はじめに」全世界の一般人口の自殺率は10万人対14人程度であるが, 何らかの気分障害の診断がつく患者が自殺に至る危険率は, その15倍に達するといわれている1). 気分の変動は自殺関連行動の発生に深く関わっており, 双極性障害におけるリスクは, 単極性うつ病の次に高い2). 双極性障害はうつ病相と躁病相を繰り返す精神疾患であるが, 全病期のなかではうつ病相のほうが長く, この時期に自殺関連行動が生じやすい3). 双極性障害のなかでも, 双極I型障害患者における自殺の危険率は非常に高く, 一般人口の22倍に達するが, これは入院治療を必要とする重症な単極性うつ病患者(20倍)や物質使用障害患者(19倍)と同程度であり, 中等症の単極性うつ病患者(5~9倍)より高い4). また, 双極性障害患者の約80%に希死念慮が存在し, 約半数は少なくとも1回は自殺企図歴がある3). このように, 双極性障害の自殺問題は単極性うつ病のそれと同様に決して無視できない.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。