はじめに  1997年に臓器移植法が制定され,臓器移植に限り脳死が“人の死”と認められるようになり,日本の脳死移植医療が幕を開けた。世界的には大きく出遅れる形となったが,2000年3月に脳死ドナーからの肺移植が行われ,わが国においても脳死肺移植が現実のものとなった。しかしながら臓器提供者数は伸び悩み,現在直面する最も大きな問題はドナー(臓器)不足である1)。過去14年間に肺移植の適応患者として,日本臓器移植ネットワークに登録された患者数は533人であった。このうち脳死肺移植を受けたものはわずか112人であり,228人の患者が移植待機中に亡くなっている。現在154人の患者が移植を待ちながら闘病中である(2011年8月現在)。実に移植希望者数は移植実施数を大きく上回り,社会のニーズに十分応えてきたとはいえないのが現状である。