はじめに  臓器移植において,血液型不適合移植は抗体関連型拒絶反応によるグラフト不全の危険があるため,一般的に禁忌とされてきた。一方,生体ドナーからの移植が発達してきたわが国では,臓器提供の申し出があったドナーの血液型が不適合とならざるを得ない可能性は十分にあり,血液型不適合の生体ドナーからの臓器移植が施行されてきた。腎臓移植においては,術前の血漿交換または二重濾過血漿分離交換法による抗体除去および脾臓摘出などの脱感作療法を実施し,グラフトの長期生着に成功し,現在では血液型不適合腎移植は生体腎移植の1つのオプションとなっている1)。