はじめに  肥満人口の増加に伴い,非アルコール性脂肪性肝疾患(non-alcoholic fatty liver disease;NAFLD)と,その進行性の病態である非アルコール性脂肪肝炎(non-alcoholic steatohepatitis;NASH)は世界的にも増加の一途を辿っており,その対策は急務である。NAFLDやNASHは内臓肥満を伴う肥満やインスリン抵抗性,脂質異常症,高血圧などのいわゆるメタボリックシンドロームを背景病態としているため,治療の基本は食事・運動療法による体重減少である。体重減少により肝の脂肪化や炎症が改善することはよく知られているが,それのみでは改善しない場合には薬物療法などの併用が必要になってくる。本稿ではNAFLDやNASHに対する治療法の現状について概説したい。