投稿日時:2019/08/20(火)
2019年スギ・ヒノキ花粉症への抗ヒスタミン薬処方に関するアンケート調査結果
M-Reviewでは、2019年のスギ・ヒノキ花粉症シーズンに抗ヒスタミン薬を処方した医師を対象に、抗ヒスタミン薬の処方の実態に関するアンケート調査を実施しました。調査結果の概要は以下の通りです。

調査概要

1.目的

2019年スギ・ヒノキ花粉症への抗ヒスタミン薬処方に関するアンケート調査

2.調査期間

2019/06/14 ~ 2019/06/24

3.調査対象

弊社運営の会員制Webサイト「M-Review」の医師会員

4.調査方法

調査対象医師にアンケートをメール配信し、2019年スギ・ヒノキ花粉症シーズンに抗ヒスタミン薬処方を行った医師へ回答を依頼

設問1. 先生の診療科目をひとつお選びください

1. 先生の診療科目をひとつお選びください

設問2-1. 2019年スギ・ヒノキ花粉飛散期に成人花粉症患者に最も多く使用したのはどの薬剤ですか?

2-1. 2019年スギ・ヒノキ花粉飛散期に成人花粉症患者に最も多く使用したのはどの薬剤ですか?

設問2-2. 設問2-1で選択した薬剤を多く使用された理由をご記入ください。

① ザイザル(レボセチリジン)

  • 切れ味と副作用のバランスが良く、ここ数年患者さんの評価が良好なため。(公衆衛生学)
  • 1日1回で、効果も副作用もまずまず。(耳鼻咽喉科)
  • 成人、小児で同一製剤が使用可能。(小児科)
  • デザレックスが供給停止になり処方できなかったため。(一般内科)
  • MRの活動が熱心。(消化器内科)
  • 採用薬品で使い慣れているため。(神経内科)
  • ザイザルしか知らない。(神経内科)

② デザレックス(デスロラタジン)

  • 病院採用薬がこれであるから。(一般内科)
  • 空腹時内服不要・眠気なし・相互作用軽微・相対的に安価。(一般内科)

③ ビラノア(ビラスチン)

  • 効果発現が比較的早く、持続時間も比較的長い。また、眠気も少ないように思われるため。(代謝・内分泌科)
  • 1日1回で良い、効果が強く眠気が弱い。(一般外科)
  • 添付文書上、運転に支障がないため。(腎臓内科)

④ ルパフィン(ルパタジン)

  • 抗ヒスタミン作用と抗PAF作用を併せ持った薬剤であり12歳以上から投与できるため。(小児科)
  • 一番新しく、機序としても期待していたので。(一般内科)
  • 効果と安全性のウェルバランス。(耳鼻咽喉科)
  • 2種類の薬剤の相互作用を期待。(一般内科)
  • 眠気などの副作用が少ないから。(代謝・内分泌科)
  • 1日1回で、効果も良いから。(耳鼻咽喉科)

⑤ ジェネリック(後発品)

  • 私自身がスギ花粉症なので今迄総ての抗アレルギー薬を試してきた。アレグラ(フェキソフェナジン)は良く利用されていて効果もあるので処方している。私自身はアレジオン(エピナスチン)が1日1回服用であり、効果もアレグラと変わりないのでアレグラを服用している。当院でもエピナスチンを置いてあり、フェキソフェナジン(ジェネリック)の次によく処方している。(一般内科)
  • 薬価と効果のバランス。副作用の眠気について尋ねて使い分けている。(一般内科)
  • アレグラを希望する患者さんが多かったため。(代謝・内分泌科)
  • 妊娠中の方が多いため。低リスクで、新薬より安全性の確実な古い薬を使うことが多いため。(産婦人科)
  • アレグラもしくはクラリチンのジェネリックを処方しています。高齢者が多いため、眠気の強い者は認知機能に影響するからです。(神経内科)
  • 精神科単科病院なので採用薬が限定されている。(精神科)
  • まずはジェネリックで処方。(一般内科)
  • 使い慣れた薬剤が後発品になっている。(総合診療内科)
  • 後発品使用が院内で定着している。(精神科)
  • 以前に効果確認できている投薬を患者さんも希望。(耳鼻咽喉科)

⑥ その他

アレグラ

  • 眠気が少ないこと、食事と関係なく内服可能。ビラノアは空腹時に内服する必要があり、デザレックスは処方不能。消去法的な選択。(皮膚科)
  • 費用対効果の問題と、運転時の注意点の観点から。(一般内科)
  • 患者の希望。(腎臓内科)
  • 効果が確実。(循環器内科)
  • 使いやすい。(消化器内科)
  • 院内採用薬。(耳鼻咽喉科)

アレロック

  • 使用経験の多さ。(一般内科)
  • 他医で既に処方されていた、あるいは前年からの引き続き。(一般内科)
  • 効果が高いし、自分も愛用しているから。(血液内科)
  • 効果あり、眠気少ない。(代謝・内分泌科)

アレジオン

  • 腎機能障碍者にも安心して使用できる。(腎臓内科)
  • 眠気と効果のバランスが取れている。(神経内科)

クラリチン

  • これまでの評判がよかったため。また、デザレックスが使えなかったため。(精神科)
  • 車の運転の制限が少ないため。(循環器内科)

設問3-1. 成人スギ・ヒノキ花粉症患者に高い効果があると思うのはどの薬剤ですか?(複数選択可)

3-1. 成人スギ・ヒノキ花粉症患者に高い効果があると思うのはどの薬剤ですか?

設問3-2. 設問3-1で選択した薬剤の効果が高いと思う理由をご記入ください。

① ザイザル(レボセチリジン)

  • 患者様の声からそう思う。自分もザイザルは内服しているが効果があると考えている。(一般内科)
  • ザイザルは私自身が試してみたが効果はある。ただ、私の場合には眠気が来たので服用を持続しなかった。今シーズンも外来で2名ほど処方した。(一般内科)
  • 様々な情報を吟味した結果、一番ききそうな感じがしました。(精神科)
  • 情報量が多いので何となく。(精神科)
  • 説明会の印象。(消化器内科)
  • 他剤からの切り替えで効果が上がったから。(眼科)

② デザレックス(デスロラタジン)

  • 自身の実感、患者の自覚症状改善度から。(一般内科)
  • 効果が長いと思われる。(脳神経外科)

③ ビラノア(ビラスチン)

  • 安定した抗ヒスタミン効果。(耳鼻咽喉科)
  • 鼻水、目がかゆいなど本人の自覚症状の軽減。(一般内科)
  • 患者さんの症状の改善に対する実感。(呼吸器内科)
  • 効果の発現が早いため。(一般内科)
  • 副作用が少なく作用時間が長いという効果が知られているため。(小児科)
  • 他剤と比較したわけではないが印象にて。(代謝・内分泌科)

④ ルパフィン(ルパタジン)

  • PAF受容体にも作用するため。(神経内科)
  • 目の痒みに関して、特に抑制効果が高く、目薬が必要なくなったから。抗PAF効果が関与していると予想される。(薬理学講座)
  • 血小板の作用に対する効果が加わったことが評価できる。(アレルギー科)
  • ルパフィンは新しい作用機序なので期待できそう。(消化器内科)

⑤ ジェネリック(後発品)

  • どれも同じ。(リウマチ科)
  • 自分で内服してみての体感。新薬の効能に大きな差を感じられない。(一般内科)
  • 商品名の記載のある薬剤は使用経験に乏しいため判定を保留します。眠気があってよければアレロックを投与しました。(神経内科)

⑥ その他

選択肢にない薬剤は、アレグラ(患者からの声/臨床の中で実感/効果が確実)とアレロック(効果の立ち上がりが速い/患者の評判が良い/副作用は強いが最も効果を感じる)が多く、その他少数回答としては、ディレグラ、タリオン、アレサガ、クラリチンなどがみられました。

複数選択分

複数の薬剤を選択した医師の意見をピックアップしました。

  • 1日1回の服用で優れた効果があり、抗ヒスタミン受容体への阻害活性も高く、眠気も少ないため。(呼吸器内科)[ザイザル/ビラノア]
  • 新しく、効果が高そう。webでのPRもあり、わかっているから。(呼吸器内科)[ザイザル/ビラノア]
  • 患者からの評価が高い。(総合診療内科)[ザイザル/ルパフィン]
  • MRの説明会にて説明を受けた。(形成外科)[デザレックス/ビラノア]
  • 実際に患者からの評判が良い。(一般内科)[デザレックス/ビラノア]
  • 効き目の速さと、持続時間、比較的副作用も少ない。(代謝・内分泌科)[ザイザル/デザレックス/ビラノア]
  • 効果の高さと副作用の低さ。(呼吸器内科)[ザイザル/デザレックス/ビラノア]
  • どの薬剤も効果があると感じています。(一般外科)[ザイザル/デザレックス/ビラノア/ルパフィン/ジェネリック]

設問4-1. 2020年のスギ・ヒノキ花粉飛散期に成人花粉症患者に第一選択として考えているのはどの薬剤ですか?

4-1. 2020年のスギ・ヒノキ花粉飛散期に成人花粉症患者に第一選択として考えているのはどの薬剤ですか?

設問4-2. 設問4-1で選択した薬剤を第一選択として考える理由をご記入ください。

① ザイザル(レボセチリジン)

  • 使用経験も多く、眠気も少なく効果が高いため患者様の強い希望がなければ自分からはザイザルを勧めている。内服が1回なのも良い。(一般内科)
  • ビラノアを出したいが、空腹時内服がネック。ルパタジンは出す機会がなく感触がわからない。デザレックスは自主回収があり、印象がやや悪い。(リウマチ科)
  • 一昨年までザイザルを処方していた患者さんにルパフィンを処方してみたところ、ザイザルのほうが有効である方が多かったため。(産婦人科)
  • 第2世代で副作用も少なく効果が高い。(泌尿器科)
  • 専門医が処方したから。(ペインクリニック)
  • 他の医師からの情報。(乳腺外科)
  • 他薬剤を処方していないため分からない。(消化器内科)
  • MRやネットでの情報が多く、効きそうな感じがする。(消化器内科)

② デザレックス(デスロラタジン)

  • 効果が大きい、内服時間帯の制限なし、副作用が少ない。(一般内科)
  • 空腹時内服不要・眠気なし・相互作用軽微・相対的に安価。(一般内科)
  • クラリチンのS体で、より副作用が少ないとの説明に興味がある。(精神科)
  • 今年は販売されていなかったが、販売が再開されれば処方したい。(小児科)

③ ビラノア(ビラスチン)

  • 1日1回の服用で優れた効果があり、抗ヒスタミン受容体への阻害活性も高く、眠気も少ないため。(呼吸器内科)
  • 眠くならない=脳への作用も少ない=認知症への影響も少なそう、だから。(代謝・内分泌科)
  • 車の運転に支障ないため。(眼科)
  • 相互作用も少ない。(耳鼻咽喉科)
  • 本年度の患者反応をふまえて。(耳鼻咽喉科)
  • スギ・ヒノキのアレルゲンは恐らく同じであろうと思うので、前年と同じ効果を期待できるから。(一般内科)
  • 他の薬剤の使用経験が少ない。(呼吸器内科)
  • 第1選択でまずやってみる。(一般内科)
  • 今流行っている。(泌尿器科)
  • デザレックスも良いが、上市されていないので消去法。(一般内科)

④ ルパフィン(ルパタジン)

  • 改善率が高い。(消化器内科)
  • 効果、値段、副作用の面からバランスよい。(一般内科)
  • 効果が強そうで、空腹時などの制限がないから。(消化器内科)
  • 抗ヒスタミン作用と抗PAF作用を併せ持った薬剤であり12歳以上から投与できるため。(小児科)
  • PAF抑制効果を見てみたいから。(膠原病科)
  • 自身で内服してある程度効果を認めている。(腎臓内科)
  • 数例の処方をしているが、反応が良い。(代謝・内分泌科)
  • 2種類の薬剤の相互作用を期待。(一般内科)
  • 最近良い評判を聞くので。(神経内科)
  • なんとなく。(皮膚科)

⑤ ジェネリック(後発品)

  • 薬価が安いこと。(一般内科)
  • 有効性、副作用、薬価のバランス。(眼科)
  • 病院指定の薬剤しか処方できないため。(精神科)
  • 後発品使用が院内で定着している。(精神科)
  • どれも同じ。(リウマチ科)
  • アレグラ(フェキソフェナジンとして処方していることが多い)やアレジオン(エピナスチン)の効果は確認されており、使用しやすいので処方を続ける。(一般内科)
  • アレルギーには他の要因もあるので、基本的な第2世代抗ヒスタミン薬をとりあえず処方。(一般内科)
  • 高齢者の認知機能を考慮してやはりアレグラかクラリチンのジェネリックを使うと思います。(神経内科)
  • 使い慣れている。運転制限がない。(一般内科)
  • 今年の結果を踏まえて。(神経内科)
  • 一般名処方が多い。(呼吸器内科)

⑥ その他

アレグラ

  • 費用対効果の問題と、運転時の注意点の観点から。内服回数で懸念がある場合は、デザレックスかビラノアを処方。(一般内科)
  • 院内採用薬かつ眠気なし。(耳鼻咽喉科)
  • 効果が確実。(循環器内科)
  • 患者からの声が最も確か。(腎臓内科)
  • 使いやすい。(精神科)

アレロック

  • 自分で比較した。(血液内科)

アレジオン

  • 腎機能障碍者にも安心して使用できる。(腎臓内科)
  • 眠気と効果のバランスが取れている。(神経内科)

クラリチン

  • 使い慣れている。(小児科)

ディレグラ

  • 容量調節がしやすい。(一般内科)

その他

  • 今後の新薬を勘案して決める。スギ・ヒノキの飛散量を考えて決める。(アレルギー科)
  • 抗原曝露の生活指導や点鼻ステロイド薬をきちんと使えていれば、内服抗ヒスタミン薬の差は臨床的に感じない。(総合診療内科)
  • 人によって違う。(一般内科)

※アレグラ・アレロックの2剤を挙げた方

  • 他の使用経験が少ない。(神経内科)

※アレグラ・ディレグラの2剤を挙げた方

  • 眠気が少ないこと、食事と関係なく内服可能。ビラノアは空腹時に内服する必要があり、デザレックスは処方不能。消去法的な選択。(皮膚科)

設問5. 以下の薬剤を親しい医師や家族※に薦める可能性はどのくらいありますか?(※近くにお薦めできる医師や家族がいると仮定してお答えください。)

ザイザル、デザレックス、ビラノア、ルパフィンの4剤のロイヤルティについて、NPS®を用いて計測しました。ビラノアが最も高い数値となり、回答者から最も好意的に評価されているとみなされます。

5. 以下の薬剤を親しい医師や家族に薦める可能性はどのくらいありますか?

NPS®とは

NPS®は、ベイン・アンド・カンパニー社のフレドリック・F・ライクヘルド氏によって提唱されました。数値が高いほど企業や製品などに対する顧客ロイヤルティが高いことを示しており、事業の成長等と高い相関があるとされています。

NPS®及びNet Promoter® Scoreは、Satmetrix Systems, Inc.、Bain & Company、Fred Reichheld の登録商標です。