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「肝性脳症の画像診断とその治療」の表紙
書籍

2016.08.05 発売

肝性脳症の画像診断とその治療

―抗菌薬治療への期待と展望―

臨床医学_一般 > 画像医学・超音波医学

定価2,970円(本体2,700円+税)
発行形態B5判 / 98ページ
ISBN978-4-7792-1732-6

おすすめポイント

肝硬変の合併症のひとつとして埋もれがちな肝性脳症にスポットをあてた1冊。

内容紹介

最近の臨床現場を見渡すと、肝性脳症で運び込まれる患者さんの基礎疾患が変わってきていることを実感する。諸家による長年の地道な治療努力が実ってHBV、HCVが減少し、その結果アルコール性肝炎・肝硬変やNASHというこれまでどちらかというと少数派だった疾患が目立っている。余談になるが、最近ウィスキーが復活傾向にある。テレビの影響かもしれないが日本酒や焼酎といった比較的アルコール度数の低い飲料から、欧米的ハードリカーへと世間の嗜好が移っているようである。とするとアルコール性肝障害は今後さらに欧米並みになる可能性が高い。

肝性脳症は肝不全徴候のひとつであり、肝臓の解毒能が大きく障害された状況下で肝不全物質が蓄積し発現する。ゆえに慢性肝障害の終末像である肝硬変の一症候として括られることが多いが、実情はもっと複雑である。基礎になる病態としては急性肝不全、末期肝硬変、そして大きな遠肝性門脈側副血行路(肝障害の有無・種類は問わないが、多くは肝硬変を合併)などが挙げられる。

まず急性肝不全における脳症であるが、高度の肝炎に続く明確な肝機能低下、種々の肝不全徴候とともに発現するので診断に難渋することはほとんどない。その治療は原疾患すなわち肝炎への対策が主体となる。脳症やその他の肝不全徴候に対しては、肝炎が収束し再生がはじまれば治まるため、人工肝補助療法などの短期決戦型超強力治療を橋渡し的に行うことが多い。なお、肝障害の回復が思わしくない場合、非可逆的な脳障害を残す可能性が高まるため、早めに肝移植が考慮されることになる。

末期肝硬変にみられる肝性脳症は、これも黄疸や腹水、出血傾向など他の肝不全徴候と同時にみられるため診断は容易である。肝臓に再生を期待することはできず、橋渡し的な治療法は意味がない。肝移植の適応はあるかもしれないが日本では一般的ではない。脳症は非可逆的で不幸な転帰をたどることになる。

そして大きな遠肝性門脈側副血行路による脳症である。門脈側副血行路をもつからには門亢症をきたしているわけで、肝硬変に至っている可能性は高いが、肝機能はいまだ十分に保たれている症例が多い。このグループの症例は黄疸や出血傾向などの肝不全徴候を呈していないにもかかわらず、便秘などを契機にいきなり脳症を発症する。肝機能は維持されているので、治療により速やかに回復するが、適切な生活指導をしないと容易に脳症を反復する。いわゆる猪瀬型肝性脳症、Sherlockのいうportosystemic shunt脳症である。その程度は残存肝機能や門脈側副血行路の大きさ、種類、肝へ供給される血流の量などさまざまな要因によりきわめて多彩な個体差を示す。

前二者と異なり、肝予備能が十分に維持されているこれらの症例は、うまくコントロールさえすれば脳症発症を予防でき、良好な予後を享受できる可能性が高い。そのためには多彩な個体差を把握するための綿密な検査と、それに見合うしっかりとした治療・生活指導が必要となる。さらにそれを入院診療だけでなく、外来での日常診療のなかでも丁寧に行うことが大切である。

本書はそのような脳症診療の虎の巻を目指して企画されたものである。大きな本のなかで肝硬変の合併症のひとつとして埋もれがちな肝性脳症だけにスポットを当て、病態生理から検査、診断、治療、そして予防に至るまでの詳細を、最先端で活躍する専門家の先生方にシンプルにまとめていただいた。実臨床の場で役立てていただければ幸いである。


(住野泰清「序」より)

目次

第1章 肝性脳症概説

1.分類、疫学、発生機序、症状/永井英成

1.臨床病型分類

2.疫学

3.発生機序と病態

4.症状

2.身体所見と各種検査/永井英成

1.身体所見

2.血液検査所見

3.精神神経系検査所見

○肝性脳症の診断フローチャート

第2章 肝性脳症の画像診断

1.超音波検査/和久井紀貴/松清 靖/住野泰清

はじめに

1.肝性脳症を発症する(または発症する可能性がある)超音波像

2.肝硬変のなかで肝性脳症を発症しやすい人はどのような人か

2.CT・MRI・血管造影/大久保裕直/國分茂博

はじめに

1.各種画像診断の特徴

2.肝硬変に伴う画像変化

3.門脈大循環シャントの画像所見

第3章 肝性脳症の治療

1.合成二糖類/岩佐元雄

はじめに

1.合成二糖類の代謝とアンモニア低下機序

2.投与方法と副作用

3.肝性脳症に対する効果

今後の展望

2.腸管非吸収性抗菌薬/岩佐元雄

はじめに

1.従来型非吸収性抗菌薬とその問題点

2.リファキシミン

3.リファキシミンの肝性脳症に対する臨床効果(海外)

今後の展望

おわりに

3.分岐鎖アミノ酸(輸液製剤、経口製剤)/白木 亮

1.肝性脳症の発症メカニズム

2.肝硬変脳症に対する分岐鎖アミノ酸製剤の作用機序

3.肝硬変脳症の治療における分岐鎖アミノ酸製剤の位置付け

4.亜鉛製剤/片山和宏

はじめに

1.亜鉛代謝と肝硬変における亜鉛の意義

2.亜鉛補充療法

おわりに

5.カルニチン/篠原美絵

はじめに

1.カルニチンとは

2.カルニチン欠乏症をきたす疾患

3.カルニチンの作用機序

4.肝性脳症に対するカルニチンの効果

5.カルニチンの投与量と副作用

6.カルニチンのその他の効果

おわりに

6.栄養(食事指導など)/岩田加壽子

1.肝硬変の栄養療法の特徴

2.栄養基準と栄養処方

3.栄養指導の実際

4.肝性脳症の栄養処方の実際

7.Interventional Radiology(B-RTOなど)/松井哲平/中野 茂

はじめに

1.B-RTO

2.当施設における肝性脳症に対するB-RTO施行例の検討

今後の展望

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