神経内分泌腫瘍(NET)の肝転移(NELM)の集学的治療において,2011年以降にさまざまな薬物が保険適用となったが,手術が最も中心的な位置を占めていることは変わりない。膵神経内分泌腫瘍の発症年齢は50歳代で,初診時に35.5%が同時性転移を伴っている。しかも,同時性転移の5年生存率は39.4%と極めて不良である。原発切除後の異時性肝転移は30〜85%に発生する。NETの予後因子は原発巣,同時性肝転移,肉眼的遺残腫瘍,分化度などである1)。また直腸と膵の生存期間は約2年であるのに対し,5年生存率は膵が40%,直腸は98%程度である2)。原発がどこであれ,転移性NETは非転移性NETと本質的に異なる可能性がある。膵NET原発巣でPAX6発現が抑制されている場合は,高率に異時性肝転移をきたし,生命予後が不良となる3)。いずれにせよ,神経内分泌腫瘍において肝転移の治療は最重要課題である。
誌上ディベート
膵神経内分泌腫瘍:肝転移切除の適応(どこまで切除するか?)
②「積極的に切除する」という立場から
掲載誌
胆膵 Oncology Forum
Vol.2 No.1 17-21,
2022
著者名
工藤 篤
/
田邉稔
記事体裁
誌上ディベート
/
抄録
疾患領域
消化器
/
癌
診療科目
消化器内科
/
腫瘍内科
/
消化器外科
媒体
胆膵 Oncology Forum
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。