従来,重症筋無力症(MG)の治療として胸腺摘除が経験的に行われてきた。本邦では,非胸腺腫例に対する胸腺摘除が積極的になされ,多くの論文が報告されてきた。2000年,Gronseth & Barohnは,過去の論文に対してメタアナリシスという手法で,「非胸腺腫例に対する胸腺摘除が有効であるというエビデンスは明確でない」という疑問を投げかけた1)。その疑問に対して,オックスフォード大学のNewsom–Davis教授が中心となり,標準化された評価方法を用いたランダム化比較試験,MGTX研究を立ち上げた。その結果が,2016年と2019年にMGTX論文として報告された2, 3)。ここでは,これらのMGTX研究の結果とその解釈,および胸腺異常に基づくMG臨床分類を解説した。