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IC Case Study

①各MG治療薬の使用中の留意点について教えてください

山本大輔

MG Frontier No.1, 26-27, 2019

メチルプレドニゾロン大量静注,いわゆるステロイドパルス療法は,全身型重症筋無力症(myasthenia gravis:MG)に対するプラセボとのランダム化比較試験(randomized controlled trial:RCT)により有効性が示されており,効果発現も早い治療法である.副作用はステロイド一般に認められる血糖上昇や不眠などのほかに,MG特有の事象として一過性初期増悪がある.機序はいまだ明らかになっていないが,投与翌日から数日間(多くは2~5日間程度),一過性に筋無力症状が悪化する現象で,時にはクリーゼを引き起こす.したがって全身型MGには未治療の状態でステロイドパルス療法を行ってはいけない.経口ステロイドでも初期増悪は起こり得るが,少量から導入することでリスクを軽減することができるため,5~10mg/日のプレドニゾロン内服で開始し,初期増悪の有無や程度を確認したのちにステロイドパルス療法を行うのが良い.もしこの時点で球症状の悪化が起こるようであれば,血液浄化療法や免疫グロブリン静注療法(intravenous immunoglobulin:IVIg)などほかの治療法を行うべきである.最初から球症状が強い患者では初期増悪によるクリーゼのリスクが高いため,ほかの治療法により症状を改善させたのちに,追加治療が必要であればステロイドパルス療法を考慮する.血液浄化療法後にステロイドパルス療法を行うことで初期増悪が軽減することが知られているが,自験例ではIVIg後でもステロイドパルス療法後の初期増悪が比較的軽い印象を持っている.一方,投与方法の工夫として,通常のステロイドパルス療法はメチルプレドニゾロン1,000mg/日を連続3日間点滴静注するが,500mg/日に減量することや,治療効果をみながら数日おきに投与する,1クールでの投与回数を減らす,などの方法がある.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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