新型コロナウイルス感染拡大は多大な被害をもたらし,特に重症患者診療において医療崩壊が叫ばれる事態となった.2020年冬にも感染者が急増し深刻な事態となったが,意外にも他の先進国と比較するとその数は少なかった.では何が医療崩壊を招いたのか.その根底には医師の分散と不足があった.集中治療に従事する医師には高度な専門性が求められ,一般診療より多くの人手が必要となる.しかし現在の日本には集中治療を専門とする医師は少なく,その多くが都市部の大病院に偏在している.その問題を解決する有効な手段と期待されるのが遠隔ICUである.遠隔ICUは,集中治療の専門医師が遠隔地から高度な助言を提供し,診療現場の人材不足と質の向上を両立する.
「KEY WORDS」遠隔ICU,集中治療医不足,医療崩壊