一般的に,悪性腫瘍の治療方針決定の際にはCT,MRIなどの画像診断が重要な役割を担っている。しかし,前立腺癌の治療方針決定においては画像診断の役割は現状では十分とはいえない。PSMAとは前立腺特異的膜抗原の略であり,前立腺癌細胞に発現する膜糖蛋白である。このPSMAに特異的に結合する薬剤を用いることにより,前立腺癌の画像診断を行うのがPSMA PETである。PSMA PETの有用性は,大きく分けて①病期診断,②生化学的再発の部位診断,③PSMA治療のコンパニオン診断の3つである。病期診断ではすべての前立腺癌に有用ではないが,intermediate/high riskのリンパ節転移,遠隔転移診断について従来の画像診断を上回る診断能をもっている。生化学的再発の部位診断では,PSAが低い症例でも有用性がある。
「KEY WORDS」PSMA PET,前立腺癌,current status in Japan.