Special Articles
成人におけるHPP
HPP Frontier Vol.2 No.1, 15-20, 2019
わが国では2015年にアスホターゼ アルファによる酵素補充療法が薬価収載されたばかりであり,重症型トランジションのHPP成人症例はまだ存在しない.国内外ともにHPP成人症例に関する啓発は進んでおらず,特にわが国では小児型と成人型の多くが見逃されていると考えられる.
HPP成人症例が関節リウマチなどの他疾患に誤診されてしまうと,骨軟化症により,骨痛や筋痛,繰り返す骨折や骨折治癒の蔓延を惹起する.また,誤った過度な運動やリハビリテーション,骨吸収抑制薬の使用による骨折リスクの増加により,患者のQOLは著しく障害される.HPPを含む骨軟化症の診断は血清ALPやリンの測定で簡便であるものの,初診診療科となる可能性が高い整形外科や膠原病/リウマチ内科などではHPPの認知度が非常に低く,誤診例が後を絶たない.初診診療科への疾患啓発が,今後の最重要課題である.
「KEY WORDS」HPP成人症例,骨軟化症,偽骨折,骨粗鬆症,疾患啓発活動
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。