特集 サルコペニア・フレイルの基礎研究の新展開
1.細胞老化とフレイル
日本サルコペニア・フレイル学会誌 Vol.6 No.1, 5-9, 2022
ヒトを含む哺乳動物において細胞老化は,がん抑制機構として機能することが古くから知られていた。また細胞老化が起こると,がん細胞の増殖を抑えるだけでなく,さまざまな生理活性物質を分泌するようになり,周辺の組織機能に影響をおよぼす。老化細胞は加齢とともにさまざまな組織に蓄積がみられ,近年のモデル動物を用いた解析から,さまざまな組織において細胞老化が加齢に伴う機能低下(フレイル)や疾患の発症,病態に関与することが明らかになった。さらに動物を用いた前臨床試験により,老化細胞の機能を抑制する薬剤が,老齢個体において組織機能を回復する効果をもつことや,加齢性疾患の病態を緩和することが明らかとなり,ヒトにおいても老化細胞除去がさまざまな疾患に対する手段として有望視されている。
「KEY WORDS」細胞老化, SASP, セノリティック, 加齢性疾患
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。