原著
筋力と歩行速度の低下を認める高齢者におけるプラセンタエキスの有用性と安全性のためのパイロット研究―前後比較試験―
日本サルコペニア・フレイル学会誌 Vol.5 No.1, 113-121, 2021
[目的]
プラセンタエキスの筋力と歩行速度の低下を認める高齢者に対する有用性及び安全性を評価した。
[方法]
筋力と歩行速度の低下を認める65歳以上の高齢者を対象とし,毎日プラセンタエキス3gを含む試験食を12週間継続摂取させた。主要評価項目は通常歩行速度及び握力,副次評価項目は下腿周囲長,QOL,ホルモン値とした。
[結果]
登録した27名のうち,摂取期間を完了した24名(男性10名,女性14名;平均85歳)を有用性評価の対象とした。通常歩行速度(中央値,以下同じ)は0.73m/sから0.88m/sに改善した(p<0.001)。握力は摂取前14.9kg,摂取後15.3kgと変化はなかった(p=0.539)。QOLに改善がみられたが,その他の副次評価項目や安全性に特記すべき所見はなかった。
[結論]
プラセンタエキスの経口摂取が筋力と歩行速度の低下を認める高齢者の通常歩行速度を改善する可能性が示された。今後,プラセボ対照比較試験により検証する必要がある。
「KEY WORDS」握力,サルコペニア,胎盤抽出物,プラセンタエキス,歩行速度
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