特集1 骨粗鬆症とサルコペニア・フレイル,その異同
5.骨粗鬆症とサルコペニアの異同:予防の観点から
日本サルコペニア・フレイル学会誌 Vol.5 No.1, 26-33, 2021
高齢者問題を取り上げるときに骨粗鬆症やサルコペニアはよく接する身近な言葉である。本来,骨粗鬆症とサルコペニアは異なる別次元の病状を捉える概念である。骨粗鬆症は,「低骨量と骨組織の微細構造の異常を特徴とし,骨の脆弱性が増大し,骨折の危険性が増大する疾患」と定義し,サルコペニアは本来筋量の減少問題から,現在は筋力低下または身体機能の衰えを伴う筋量減少と概念が変節している。
骨粗鬆症の予防には,痩せや肥満を避ける適切な体重管理,タンパク質などの十分な栄養摂取,定期的な身体活動や運動実践,過度な喫煙や飲酒を避ける生活習慣が必要である。また,サルコペニアの予防には,定期的な運動や活発な身体活動,タンパク質やアミノ酸などの十分な栄養摂取が有効である。一見すると骨粗鬆症予防策とサルコペニア予防策は類似しているように見える。しかし,主評価項目は異なる。すなわち,骨粗鬆症予防策は骨密度増加や骨折予防に,サルコペニア予防策は筋量や筋肉,身体機能の改善に重点を置いている点が異同である。
「KEY WORDS」骨粗鬆症,サルコペニア,骨折,運動,栄養
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