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特集 サルコペニア肥満

4.サルコペニア肥満の臨床

木村穣

日本サルコペニア・フレイル学会誌 Vol.4 No.1, 22-27, 2020

生体でのアディポカインを中心とした脂肪細胞とマイオカインを中心とした骨格筋の作用が明らかになってきた。このアディポカイン,マイオカインともにインスリン抵抗性を中心とした動脈硬化に大きく関与しており,その結果両者の合併したサルコペニア肥満は循環器領域として重要である。またサルコペニア,肥満の共通の介入方法としてあげられるのが運動である。しかし運動の作用機序はさまざまであり,運動の作用機序および脂肪,骨格筋の関連を十分に把握した上でその介入方法を考案する必要がある。特にサルコペニアと肥満の合併した状態であるサルコペニア肥満では複雑な病態が交錯しており,単純な運動介入ではかえって状態の悪化や十分な効果が得られない可能性がある。今後サルコペニア肥満の詳細な病態の解明,その介入手段としての運動処方,運動療法が臨床的に確立される必要がある。本項ではわれわれのサルコペニアと肥満外来での結果を中心に提示し,今後のサルコペニア肥満への運動の臨床応用への一助になれば幸いである。
「KEY WORDS」サルコペニア肥満,サルコペニア外来,骨格筋評価,運動療法,インスリン抵抗性

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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