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特集 サルコペニア肥満

2.サルコペニア肥満とobesity paradox

木村真希小川渉

日本サルコペニア・フレイル学会誌 Vol.4 No.1, 10-15, 2020

Obesity paradoxとは,肥満者は標準体重者に比較して死亡リスクの低下が認められるという現象で,肥満の病態学的意義を考える上で注目されている。この現象を検討する際に,対象疾患や研究デザインとともにさまざまな統計バイアスを考慮に入れる必要がある。Obesity paradoxに関する検討の多くはBMIを肥満指標として用いているが,本来肥満は「脂肪組織量の増加」に基づく病態であり,脂肪組織以外に筋肉量や骨重量などを含んだ指標である体重を用いて算出するBMIでは,脂肪組織量の変化を正確に評価することは困難である。BMIが正常範囲内であっても内臓脂肪過多である症例が存在する可能性があり,サルコペニア症例における内臓脂肪量にも着目する必要がある。内臓脂肪型肥満を評価するために,a body shape index(ABSI)を含め新たな臨床指標の活用の広がりが期待される。
「KEY WORDS」obesity paradox,肥満症,肥満指標,内臓脂肪蓄積

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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