原著
高齢糖尿病患者におけるサルコペニアと転倒恐怖との関連性:SARC-F日本語版(SARC-F-J)を用いた検討
日本サルコペニア・フレイル学会誌 Vol.3 No.1, 85-91, 2019
[目的]
高齢糖尿病患者に対しサルコペニアと転倒恐怖との関連性を,SARC-F日本語版(SARC-F-J)を用いて検討した。
[方法]
伊勢赤十字病院糖尿病外来通院中の65歳以上の糖尿病患者を対象とし,転倒恐怖の測定には,Fall Efficacy Scale(FES)日本語版を,サルコペニアの評価には自己記入式質問紙であるSARC-F-Jを用いた。
[結果]
323例(男性198例,女性125例)が解析対象となった。サルコペニアの有病割合は20.7%,FES点数は34.8±5.6点であった。サルコペニアの転倒恐怖に関する調整後偏回帰係数は,男性-3.94(95% CI, -5.90 to -1.98, P<0.001),女性-1.94(95% CI, -4.55 to 0.66, P=0.141)であった。
[結論]
男性高齢糖尿病患者においてサルコペニアと転倒恐怖には統計学的有意な関連性を認めた。男性高齢糖尿病患者において,サルコペニアの患者を診た際の転倒恐怖への注意喚起が重要と思われた。
「KEY WORDS」サルコペニア,転倒恐怖,糖尿病
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