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特集1 サルコペニア・フレイルのコントロバーシー

2.サルコペニアの診断:現時点でどの診断基準を用いるべきか

A.AWGS基準

小原克彦

日本サルコペニア・フレイル学会誌 Vol.3 No.1, 16-20, 2019

サルコペニアのAWGS基準は,EWGSOPをもとにアジア人の基準に準拠した診断基準として2014年に提唱された。この基準を用いた多くの研究がこれまでに報告されており,AWGS基準に基づいたサルコペニアは,さまざまな病態,リスク因子,予防因子と関連することが示されている。さらに,EWGSOPを含む他の基準との比較においても優位性を示した成績も存在し,AWGS基準の有用性が示されている。改訂EWGSOP2では,サルコペニア診断のアルゴリズムを変更し,握力と椅子立ち上がり試験などで評価した筋力を重視し,筋肉量や筋質の診断を加えてサルコペニアと確信する。歩行速度の取り扱いがAWGS基準と異なり,歩行速度の測定は重症度の評価に関連しサルコペニアの診断には必須ではない。しかし,歩行速度の評価はフレイルの診断の重要な項目であり,今後も測定が望ましいと考えられる。AWGS基準では,歩行速度の低下を示さない下肢筋力低下を見逃す可能性があり,今後EWGSOP2に準拠した改訂が必要になると考えられる。
「KEY WORDS」AWGS基準,EWGSOP2基準,筋力,筋肉量・筋質,歩行速度

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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