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特集 超高齢社会におけるフレイルの概念―現状と今後に期待される展開

7.整形外科領域とフレイル

松井康素

日本サルコペニア・フレイル学会雑誌 Vol.2 No.1, 45-50, 2018

フレイルは,身体的,精神心理的,社会的脆弱性を含む多面的な概念であるが,身体的虚弱の占めるウエイトは大きく,整形外科領域の疾患や障害が原因となる場合が少なくない。整形外科領域でフレイルの原因となりやすい疾患は,類似の概念であるロコモの原因の3つの代表的な疾患と考えてよく,骨粗鬆症(に伴う脆弱性骨折),変形性関節症,脊椎疾患であり,中でも特に骨粗鬆症性骨折でフレイルに陥りやすい。文献的にも骨粗鬆症ならびに骨粗鬆症性骨折とフレイル,変形性関節症とフレイルの関連が報告されている。フレイルとロコモを同時判定でみた両者の関連ではロコモはフレイルの一部というより,むしろロコモになっている人の一部がフレイルになっていた。
フレイルは加齢に伴うストレスに対する予備能力低下と言えるが,予備能力の多くを担うのは恐らく骨格筋であり,骨格筋は運動や動作の動力源で,その維持,増強がフレイルの予防改善に肝要となる。骨とともに骨格筋に対し,主に整形外科,老年科の双方が協力し,また多職種を交えてのアプローチを進めていくべきである。
「KEY WORDS」フレイル,整形外科,ロコモ,骨粗鬆症性骨折,変形性関節症

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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