特集 超高齢社会におけるフレイルの概念―現状と今後に期待される展開
2.フレイルの概念・診断
日本サルコペニア・フレイル学会雑誌 Vol.2 No.1, 13-20, 2018
フレイルとは,老いの過程の中で現れる脆弱な状態を表す用語であり,些細なストレスに対し,それに見合わない健康状態の増悪が起こりうる潜在的な危険を孕んでいる。このような状態を形成する問題は,身体的要素のみならず,精神心理的要素,社会的要素をも含み多様である。日本老年医学会はフレイルを,健康な状態と介護が必要な状態の中間段階に位置付ける立場を取っており,自立機能がある程度維持されている状態を示すとしている。フレイルは,健康状態の回復や改善がまだまだ可能な状態と捉えられるため,虚弱化に拍車をかける因子を拾い上げ,可逆的な因子を見出して早期に介入することが,健康長寿社会の構築に重要である。そのためには,フレイルの抽出が第一歩となるため,本稿では,フレイルの概念とそれに基づく診断基準やスクリーニング法のいくつかを紹介する。
「KEY WORDS」健康寿命,Phenotype model,Accumulated deficit model,J-CHS 基準,Frailty Index
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。