骨格筋量の減少に伴う筋力の衰えあるいはphysical performanceの低下を指すサルコペニアに対する栄養介入は,予防のための栄養介入,治療のための栄養介入に分けて,その効果を検証すべきである。予防のための栄養介入による筋量の上昇効果は多くの研究で検証されている。しかし,筋力やperformanceの向上効果については,向上効果を認める研究も散見されるが,改善効果は検出されなかったとの報告も多く,研究者によって異なる結果を報告している。
栄養介入は,栄養単独介入よりも運動との組み合わせの効果についての試験がより多く報告され,運動に栄養補充を加えたときの増大効果(additional effect)について,筋量は23.5%,筋力は22.8%,physical performanceは14.3%の論文で確認されている。運動による上昇効果は, 筋量79.0%,筋力82.8%,physical performance 92.8%であることを考慮すると栄養補充による増大効果は不十分な状況である。サルコペニア治療効果については,部分的な効果を認める報告もあるが,論文の数が少なく,治療効果を認める段階に達していないのが現状であり,今後一層の研究成果に判断を委ねる。
「KEY WORDS」サルコペニア予防,サルコペニア治療,筋量,筋力,Physical performance