老化による筋量と筋力の低下及びそれに伴う身体機能の低下状態をサルコペニアという。サルコペニアは高齢者にみられ,健康長寿達成のための障害となる。サルコペニアの有病率や患者数の推定は,リスク要因の解明と同様に予防を行っていくうえで重要である。無作為抽出された地域住民のコホートでの解析では,サルコペニアの有病率をAsian Working Group for Sarcopenia(AWGS)の基準で判定すると男性で9.6%,女性で7.7%,日本全体での65歳以上の有病者数推計値は男性で132万人,女性で139万人と推定された。
サルコペニア,筋力・筋量低下の危険因子としては運動不足や抑うつ,エネルギー摂取量,たんぱく質や分岐鎖アミノ酸などの栄養不足が有意に関連しており,予防のためには積極的な運動と栄養の介入が重要であると思われる。サルコペニアの予防は超高齢社会を迎えた日本の健康長寿にとっての今後の重要な課題となろう。
「KEY WORDS」地域高齢者,サルコペニア,有病率,危険因子,縦断研究