Q&A(がん免疫療法 Cancer Immunotherapy)
IDO阻害剤について教えてください
掲載誌
がん免疫療法 Cancer Immunotherapy
Vol.2 No.1 39-41,
2018
著者名
大植祥弘
記事体裁
連載
/
Q&Aシリーズ
/
抄録
疾患領域
呼吸器
/
アレルギー・免疫
/
癌
診療科目
呼吸器内科
/
腫瘍内科
媒体
がん免疫療法 Cancer Immunotherapy
Indoleamin 2, 3–dioxygenase(IDO)は,tryptophan 2, 3–dioxygenase(TDO)とともに,必須アミノ酸であるトリプトファン(Trp)代謝のキヌレニン(Kyr)経路における律速酵素です.腫瘍や抗原提示細胞におけるIDOの強発現は,免疫微小環境でのTrpの枯渇を招き,腫瘍局所に浸潤するリンパ球(tumor Infiltrating lymphocyte:TIL)の細胞疲弊を引き起こします.また,Trpの代謝産物も,TILのアポトーシスやTh1–Th2バランスを変えることが知られています.さらに免疫微小環境における樹状細胞(dendritic cell:DC)のIDO発現は,局所に制御性T細胞(T regulatory cell:Treg)や骨髄由来免疫抑制細胞(myeloid-derived suppressor cell:MDSC)を誘導し,TIL活性を抑制しています.このように,IDOは免疫微小環境で抗腫瘍免疫応答の抑制に深く関与しているため,IDO活性を阻害する薬剤の開発が活発に行われています.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。