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SPECIAL ARTICLE(がん免疫療法 Cancer Immunotherapy)

腫瘍遺伝子変異量(tumor mutation burden)

田中謙太郎

がん免疫療法 Cancer Immunotherapy Vol.2 No.1, 18-19, 2018

固形がんでは一定数の体細胞変異が認められるが,その変異数にはがん種によるばらつきが認められる.シークエンス技術の進歩による解析速度の上昇と解析費用の低下により個体別の変異数測定が可能となった.Vogelsteinは,約1,200名の腫瘍検体を用いた多様ながん種別の全エクソーム解析(whole exome sequencing:WES)による変異量を2013年の総説で報告した1).マイクロサテライト不安定性(microsatellite instability:MSI)を有する特殊な大腸癌を筆頭に,喫煙者の小細胞肺癌や非小細胞肺癌ならびに悪性黒色腫(メラノーマ)においては100を超える変異が認められる一方,小児がんや非喫煙者の非小細胞肺癌,乳癌や肝臓癌ではその変異量が少なかった.このことは,喫煙や紫外線といった慢性の外的刺激により誘導されるがんと,特定の原がん遺伝子やホルモン,ウィルス感染が引き起こすがんは,遺伝子変異の蓄積量が異なるということを如実に示す.現在,この変異量は腫瘍遺伝子変異量(tumor mutation burden:TMB)として数値化されており,1 megabase(Mb)あたりの変異塩基数(single nucleotide variation:SNV)として示される.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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