日本人の体臭は海外諸国と比べて少ないといわれてきた.食生活や気候,室内では履物を脱ぐ生活環境や毎日の入浴習慣などがそのゆえんと考えられる.しかし,食生活の欧米化や近年の地球温暖化に伴う平均気温の上昇,さらには清潔に対する意識レベルの高まりにより,多くの人が「自分の臭い」に不安を感じ始めている.最近では,体臭などが原因で周囲に不快感を与える「スメハラ(スメルハラスメント)」という言葉も認知され,体臭が個人の悩みを通り越してわれわれの「生活の質(quality of life;QOL)」を損ないかねない社会問題として取り上げられることもあり,臭いに気をつかうことは社会的なマナーとなってきている.
体臭は複数のにおい成分の混合臭であり,部位や年代などによって異なる.体臭のおもな原因は汗や皮脂などが皮膚常在菌によって分解されて発生するさまざまな代謝物の混ざりあったものである.このような背景から多様な体臭をターゲットにした研究開発が活発化し,さまざまな臭いケア(デオドラント)製品の市場が拡大している.デオドラント製品は制汗や殺菌・抗菌など体臭の原因となる要素の発生を抑える「防臭」効果にフォーカスしたものと,発生した体臭を消す「消臭」効果にフォーカスしたものに大別することができる.消臭についてはさらに物理的消臭,化学的消臭,そして感覚的消臭に分類することができ,この感覚的消臭の主役を担うのが「フレグランス(香料)」である.
本稿では体臭にフォーカスし,さまざまな臭いケア製品に必要不可欠な「フレグランス」の基礎知識について最新の研究開発事例を交えて概説したい.
体臭は複数のにおい成分の混合臭であり,部位や年代などによって異なる.体臭のおもな原因は汗や皮脂などが皮膚常在菌によって分解されて発生するさまざまな代謝物の混ざりあったものである.このような背景から多様な体臭をターゲットにした研究開発が活発化し,さまざまな臭いケア(デオドラント)製品の市場が拡大している.デオドラント製品は制汗や殺菌・抗菌など体臭の原因となる要素の発生を抑える「防臭」効果にフォーカスしたものと,発生した体臭を消す「消臭」効果にフォーカスしたものに大別することができる.消臭についてはさらに物理的消臭,化学的消臭,そして感覚的消臭に分類することができ,この感覚的消臭の主役を担うのが「フレグランス(香料)」である.
本稿では体臭にフォーカスし,さまざまな臭いケア製品に必要不可欠な「フレグランス」の基礎知識について最新の研究開発事例を交えて概説したい.