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特集 血管

Feature Articles 特集論文 1.酒皶

山﨑研志

Bella Pelle Vol.5 No.4, 14-17, 2020

酒皶は「周期的に悪化する特徴的なパターンの顔面中央部の紅斑(central facical erythema)」と「瘤腫(phyma)・鼻瘤(rhinophyma)」を特徴とする疾患である.酒皶病型のなかでかつて1度酒皶と呼ばれていた病型は,その主病変を反映して紅斑血管拡張型酒皶(erythematotelangiectatic rosacea;ETR)と表現する.ETRでは,毛細血管の拡張とそれに伴う赤ら顔や血流増加に伴う火照りを主たる症状とし,血管性病変への対応が必要になる疾患である.酒皶の診断と治療に当たっては,顔面中央部に紅斑をきたす疾患が酒皶以外にも複数あることに留意しつつ,鑑別疾患や合併疾患の検索が重要である.酒皶単独の赤ら顔よりも,酒皶に化粧品などの接触皮膚炎や花粉症などの空気曝露性接触皮膚炎を合併した赤ら顔のほうが多いと考えておくほうがよい.合併するアレルギー性接触皮膚炎を考慮せずに治療介入を行うと,予期せぬ顔面症状の増悪をきたし,医療者と患者双方に望ましくない結果になっている症例にしばしば遭遇する.合併症を含めた適切な診断と治療を行うことで,QOLを大きく損なう酒皶の顔面症状の改善と生活指導を心がけることが必要である.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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