美容皮膚科講義
Paper No.2 リボソームDNAは,進化的に保存された生物学的老化時計を宿している
Bella Pelle Vol.4 No.4, 63, 2019
リボソームDNA(rDNA)は,ゲノム中で進化的に最も保存された部分で,核小体の起源でもある.ここで,核小体は,エネルギー集約的な核小器官であるとともに,細胞代謝からゲノムのエピジェネティック状態に至るまでの無数の分子プロセスに影響を及ぼす主要なハブである.rDNA/核小体は,酵母,ショウジョウバエ,およびヒトといった多様な生物の老化および寿命に,直接的かつ作用機序のうえで関与している.またrDNAは,過剰なrDNA単位をサイレンシングして核小体の活性を調節するDNAメチル化の重要な標的でもある.本論文では,rDNA内のCpGメチル化のみで構築された老化時計について紹介する.リボソーム時計は,種内の個体の年齢を正確に推定するのに十分であり,寿命を変化させる遺伝的介入および環境的介入に反応し,ヒト,マウスおよびイヌといった遠縁種にわたって保存されている機能である.さらなる分析により,rDNAでは,ゲノムの他の部分と比較して,年齢に関連した高メチル化が有意に多いことが明らかになり,これがrDNA時計の基礎を成している.われわれの観察により,進化的に保存された老化のマーカーが同定できた.これらは,容易に確認でき,核小体生物学に基づいており,ヒトならびに多様な種の実験用生物および野生生物において,個体の年齢および介入に対する反応を測定するための普遍的なマーカーとして役立つ可能性がある.
「KEY WORDS」エピジェネティクス,生物学的年齢,DNAメチル化
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。