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美容皮膚科に必要な外科的Option & Technique

第10回 後天性真皮メラノサイトーシスは,あざではなくシミとして治療をする

山下理絵

Bella Pelle Vol.4 No.2, 60-61, 2019

後天性真皮メラノサイトーシス(acquired dermal melanocytosis;ADM)は,表皮基底層の色素沈着と真皮上層に紡錘形の真皮メラノサイト様細胞が出現し,線維間に平行に存在する.以前は,両側性太田母斑の亜型として考えられ,遅発性両側性太田母斑様色素斑(acquired bilateral nevus of Ota-like macule;ABNOM)とも呼ばれていた.10年以上前の日本皮膚科学会で,ADMの治療に関して,太田母斑とは分け,肝斑同様にトラネキサム酸などの内服を併用すること.さらには炎症後色素沈着(post-inflammatory pigmentation;PIH)が起こる可能性が高く,起こった場合は長期間(6カ月以上)消失しないことなどの説明を十分に行い,患者が理解,納得してからQスイッチルビーレーザーを行っていることを報告した.質疑応答時に「ADMはQスイッチルビーレーザーを打てば消えるので,その他の治療は必要ない」とコメントをいただいた.確かにADMをあざと考えればそれでよいかもしれないが,患者は女性でシミと思い受診することが多い.また,ADMはPIHを起こす可能性が高く,長期にカバーする必要がある.筆者のADMの治療経験は,今から25年ほど前である.1例目は診断ができずシミと思い,Qスイッチルビーレーザーを照射した.幸運にもPIHは生じなかったが,1回の治療では色素は消失しなかった.その後,ADMという疾患が存在することを知り,2例目はQスイッチルビーレーザーの照射により軽度のPIHを起こしたが問題なく治癒した.3例目は重度のPIHを起こし,消失まで8カ月間の長い道のりを,患者とともに不安に思いながら毎日を送った記憶が残っている.それ以降は必ず,真皮だけでなく表皮のシミの状態を確認し,肝斑を合併していなくてもADMはシミとして扱い,プレトリートメント(ビタミンC,E,トラネキサム酸などの内服,ビタミンC,コウジ酸などの外用)を行い,慎重に治療するようになった.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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